帯状疱疹の治療が遅れたり、治療しなかったりした場合には、発熱や頭痛のような全身的な症状が現れることがあります。
また、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスは、神経の流れに沿って障がいをおよぼすことから、目や耳など感覚器の神経を傷つけると、視力の低下や難聴などを引き起こします。運動神経を傷つけると、腕が上がらなくなるなどの麻痺や、おしっこが出ない排尿障害などの合併症につながることもあります。
これらの症状は障がいや後遺症として残ることがあるので、注意が必要です1)。
例えば
1)Harpaz R, et al. MMWR Recomm Rep. 2008; 57(RR-5): 1-30.
通常、痛みは水ぶくれ(水疱:すいほう)や赤い発疹(ほっしん)が治るとともに軽くなりますが、皮膚の症状が治まった後も長期間にわたって続く痛みを、帯状疱疹後神経痛(PHN)といいます2)。加齢とともにPHNへの移行リスクは高くなり、50歳以上の患者さんの約2割が移行すると報告されているため3)、注意が必要です。
帯状疱疹後神経痛(PHN)は、ウイルスが神経を傷つけることで起こるため、帯状疱疹になったら、できるだけ早く治療をはじめてウイルスを抑えることが重要です。また、帯状疱疹後神経痛(PHN)の痛みは、ウイルスの増殖によって引き起こされる炎症による痛み(帯状疱疹痛)とは原因が異なるため、治療法も変わります。皮膚の症状が治まっても痛みが続く場合は、医師に相談しましょう。
2)比嘉和夫. 治療. 2008; 90(7): 2147-2149. より改変
3)Takao Y, et al. J Epidemiol. 2015; 25(10): 617-25.