帯状疱疹の予防

帯状疱疹の予防には、2種類のワクチンがあります。水ぼうそうにかかったことがある人はすでに水痘（すいとう）・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を持っていますが、年齢とともにその免疫は弱まります。そのため、改めてワクチン接種を行うことで免疫を強化し帯状疱疹を予防します。
これらのワクチンは帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、発症しても症状が軽くすむという報告があります1）。対象者など予防接種に関する詳細は医師に確認してください。

帯状疱疹の発症率は年齢とともに上昇します。50歳を過ぎると増加し始め、60代、70代とさらに高くなっていきます²⁾。 また、年齢が上がるにつれて、帯状疱疹後神経痛（PHN）になるリスクも高まります³⁾。そのため、帯状疱疹そのものを予防することが重要です。
帯状疱疹の予防接種は、65歳の方などを対象に定期接種が実施されています。
ワクチンは、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力を高め、帯状疱疹の発症を予防します。もし発症しても、症状が軽くすむというデータもあります¹⁾。
ワクチン接種を検討される方は、かかりつけの医師にご相談ください。

帯状疱疹は、脊髄の神経節に潜伏している水痘（すいとう）・帯状疱疹ウイルスが再び活動し始めることで発症します。最初にピリピリとした刺すような痛みが現れ、その後、帯状の（帯のような形で）小さな水ぶくれと発疹ができます。この症状から「帯状疱疹」と呼ばれるようになりました。
多くの人は子どもの頃に水痘（すいとう）・帯状疱疹ウイルスに初めて感染し、この時は水ぼうそうとして発症します。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体の中に残ります（神経節に潜伏し続けます）。普段は免疫力によってウイルスの活動は抑えられていますが、加齢、疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが再び活動を始め帯状疱疹を発症します。日本では80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するとされています²⁾。
抗ウイルス薬の登場により、以前よりも治療しやすくなりましたが、それでも症状が長引いたり、治った後も痛みが残ったりすることがあります。この痛みが日常生活に影響を与えることもあるので、帯状疱疹にならないよう予防すること、もしなってしまったら早めに治療を始めることが大切です。

帯状疱疹の皮膚の症状が治まった後も長期間にわたって続く痛みを帯状疱疹後神経痛（PHN）といいます^4）。 加齢とともに帯状疱疹後神経痛（PHN）への移行リスクは高くなり、50歳以上の患者さんの約2割が移行するという報告もあります^3）。
帯状疱疹後神経痛（PHN）は、水痘（すいとう）・帯状疱疹ウイルスが知覚神経を傷つけることによって起こります。傷ついた神経の回復には時間がかかる場合があり、特に高齢者では症状も治療も長引く可能性があります。そのため、帯状疱疹の発症自体を予防することが重要だと考えられています。

帯状疱疹の痛みの感じ方は人によってさまざまです。あまり痛みがなく、かゆい、しびれる、何か変だと感じるだけの場合もあります。帯状疱疹だと気づかずに治療が遅れると、皮膚症状が治った後も長く痛みが残る帯状疱疹後神経痛（PHN）になる可能性が高くなります。帯状疱疹かもしれないと思ったら、できるだけ早く病院に行って治療を始めることが大切です。

帯状疱疹は免疫力が低下することで発症しやすくなります。そのため、帯状疱疹の予防には日頃の体調管理が大切です。バランスの良い食事と十分な睡眠をとり、適度な運動をしましょう。また、リラックスする時間を持ってストレスを減らすことも大切です。これらの習慣で免疫力の低下を防ぐよう心がけましょう。
もし帯状疱疹を発症してしまった場合は、抗ウイルス薬で治療を行うとともに、安静と栄養バランスのとれた食事を心がけることが重要です。治療中は患部を冷やさないように注意し、痛みが強い場合はお風呂でしっかりと温まることで、痛みが和らぐこともあります。