帯状疱疹は、一度だけでなく二度、三度とかかる場合もあります。
再発の際は、初めて発症した部位と大半が異なるといわれています1)。
1) 外山 望:皮膚科の臨床63(6):980-983, 2021
2回目の帯状疱疹の発症は、女性および50歳以上に多いといわれています2)。
2)Shiraki, et al. Open Forum Infectious Diseases. 2017; 4(1): ofx007
主に子どもの頃に、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスにはじめて感染すると水ぼうそうを発症しますが、水ぼうそうが治った後も、ウイルスは神経節に潜んでいます。
免疫力が低下するとウイルスが再び活動、増殖し、帯状疱疹を発症しますが、ウイルスに対する免疫ができます。しかし、その後免疫力が低下すると、ウイルスが活動をはじめ、再び症状が現れることがあります。
免疫機能が正常な人が帯状疱疹を再発する割合は数%といわれています1)。また、1年以内に再発するのは極めてまれといわれています2)。
1) 国立感染症研究所,帯状疱疹ワクチン ファクトシート,平成29(2017)年2月10日
2) 国立感染症研究所感染症疫学センター, IASR. 2018; 39(8): 139-141
帯状疱疹について相談できる病院を探す
帯状疱疹は再発するケースもあるとのことですが、そもそも帯状疱疹とはどんな病気なのでしょうか。帯状疱疹の基礎知識について解説します。
帯状疱疹は、体内の水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが活動を再開することで発症します。
主に子どもの頃に、このウイルスにはじめて感染すると、水ぼうそうを発症します。そして、水ぼうそうが治った後も、ウイルスは脊髄から出る神経節という部位に潜んでいます。普段は体の免疫力によってウイルスの活動が抑えられているため発症することはありませんが、免疫力が低下するとウイルスは再び活動、増殖しはじめます。そして、ウイルスは神経の流れに沿って神経節から皮膚へと移動し、帯状に痛みや発疹(ほっしん)が出る帯状疱疹を発症します。
水ぼうそう
(水痘)
潜伏感染
免疫力低下
帯状疱疹
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帯状疱疹の症状には個人差がありますが、多くは、はじめに皮膚に神経痛のような痛みが起こります。痛みは、皮膚の違和感やかゆみ、しびれとして感じる程度から、ピリピリ、ズキズキ、チクチク、針で刺されたような痛みや、焼けるような痛みまで様々です。その後、水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れ、徐々に痛みが強くなり、眠れないほど痛むこともあります。強い痛みや皮膚の症状は、主に体の左右のどちらかにみられ、3~4週間ほど続きます。
帯状疱疹の発疹(ほっしん)や水ぶくれ(水疱:すいほう)などは治療を行わなくても治る場合もありますが、治療が遅くなったり治療されないまま放置されると、頭痛や39℃以上の発熱などの全身症状が現れることもあります。特に首から上の帯状疱疹は、重症の場合、失明や顔面麻痺、難聴を引き起こすことがあります。発疹が消えた後も痛みが残ることがあるため、できる限り早く医療機関を受診し治療を始めることが重要です。
写真提供:奈良県立医科大学皮膚科学教室 浅田秀夫先生
帯状疱疹の原因となる水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスは潜み続け、免疫力が低下すると活性化・増殖することがあります。そこで、疲労やストレスを避け、免疫力の低下しないよう気をつけることが大切です。また、帯状疱疹の予防には、主に50歳以上の方を対象として、ワクチンを接種するという方法があります。ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあります。予防に関する詳しいことについては、お近くの医師にご相談ください。
※予防接種の対象者等は、医師にご確認ください。