帯状疱疹は、ワクチンで予防できます。
ワクチンには、感染症の原因となる細菌やウイルスの病原性を弱くしたものや、成分の一部を取り出したもの、また病原性を全くなくしたものがあります。ワクチンを体内に接種すると、そのワクチンの成分(細菌やウイルス)に対しての免疫力を高め、病気の発症や重症化を抑えることができます。
帯状疱疹の予防には、主に50歳以上の方を対象としたワクチンがあります。水ぼうそうにかかったことがある人は、すでに水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得していますが、年齢とともに弱まってしまうため、改めてワクチン接種を行い、免疫を強化することで帯状疱疹を予防します。予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、たとえ発症しても症状が軽くすむという報告があります1)。
なお、予防や治療に関する詳しいことについては医師とご相談ください。
※予防接種の対象者等は、医師にご確認ください。
1)Oxman MN, et al. N Engl J Med. 2005; 352(22): 2271–2284.
帯状疱疹について相談できる病院を探す
帯状疱疹の発症率は50歳以上で増加し、50代、60代、70代と加齢に伴ってさらに増加します2)。また、帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行リスクも加齢とともに高くなるといわれています3)。そのため、帯状疱疹の発症自体を予防することは重要と考えられます。なお、帯状疱疹のワクチン接種の対象は、主に50歳以上の方です。
ワクチン接種により、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力を高めて、帯状疱疹の発症を予防することができます。また帯状疱疹を発症したとしても軽症ですむとのデータもあります4)。かかりつけの医師とご相談の上、接種をご検討ください。
※予防接種の対象者等は、医師にご確認ください。
※予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありません。
2)Shiraki K. et al. Open Forum Infect Dis. 2017; 4(1): ofx007.
3)Takao Y, et al. J Epidemiol. 2015; 25(10): 617-25.
4)Oxman MN, et al. N Engl J Med. 2005; 352(22): 2271–2284.
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帯状疱疹は、脊髄から出る神経節という部位に潜んでいる水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが活動を再開することで発症します。ピリピリと刺すような痛みから始まり、続いて小さな水ぶくれ(水疱:すいほう)と発疹(ほっしん)が帯状に現れることから、帯状疱疹という病名が付けられています。はじめて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染するのは、子どものころがほとんどですが、その時には水ぼうそうとして発症します。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは脊髄から伸びる神経節にじっと潜んでいます。健康で免疫が維持されている間は、水痘・帯状疱疹ウイルスの活動は抑えられ、病状を呈することはありませんが、加齢や疲労、ストレスなどにより免疫力が低下すると、ウイルスが再び活動を開始し、増殖したウイルスは、神経の流れに沿って神経節から移動、皮膚に達して、帯状に痛みや発疹が現れるようになります。日本人では80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています5)。
帯状疱疹の治療薬としてウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス薬が登場し、以前に比べて帯状疱疹の治療は容易になりましたが、それでも治療が長引くケースや治った後にも長期間、痛みが残るケースが少なくありません。帯状疱疹が治った後に後遺症として痛みなどの症状が残ると、日常生活に支障をきたすことがあるため、できれば帯状疱疹の発症を予防し、発症してしまった場合には早めに治療を開始することが重要です。
5)Shiraki K. et al. Open Forum Infect Dis. 2017; 4(1): ofx007.
帯状疱疹の皮膚の症状が治まった後も長期間にわたって続く痛みを帯状疱疹後神経痛(PHN)といいます6)。加齢とともに帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行リスクは高くなり、50歳以上の患者さんの約2割が移行するという報告もあります7)。
帯状疱疹後神経痛(PHN)によって生じる痛みは、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが知覚神経を傷つけることによって起こります。ウイルスによって傷つけられた神経の回復には時間がかかる場合があり、特に高齢者では症状も治療も長引く可能性があるため、帯状疱疹の発症自体を予防することの重要性は高いと考えられています。
6)比嘉和夫. 治療. 2008; 90(7): 2147-2149.
7)Takao Y, et al. J Epidemiol. 2015; 25(10): 617-625.
帯状疱疹の治療が長引いたり、皮膚症状が治った後も痛みが長期間残ってしまう要因の1つとして治療の遅れが考えられます。帯状疱疹では、はじめに皮膚にピリピリ、ズキズキ、チクチクといった神経痛のような痛みや焼けるような痛み(灼熱感:しゃくねつかん)を感じ、その後、水ぶくれ(水疱:すいほう)を伴う発疹(ほっしん)が帯状に現れるのが特徴です。しかし、初期症状である痛みの感じ方は患者さんによってさまざまであり、中にはあまり痛みがなく、かゆい、しびれる、違和感があると感じるだけのケースもあります。通常、帯状疱疹の痛みは、水ぶくれや赤い発疹が治ると軽くなりますが、帯状疱疹だと気づかずに治療が遅れた場合には、皮膚症状が治まった後も長期間にわたって痛みが残る帯状疱疹後神経痛(PHN)になる可能性は高まります。
帯状疱疹を疑う症状に気がついたらできる限り早く医療機関を受診し、治療を開始することが重要です。
帯状疱疹は免疫力の低下によって発症するため、帯状疱疹の予防には、日頃の体調管理が重要です。食事や睡眠をしっかりととり、適度な運動や、リラックスした時間をもつことでストレスを減らし、免疫力を低下させないように心がけましょう。
また、帯状疱疹を発症した場合も、抗ウイルス薬で治療を行うとともに、安静と栄養バランスのとれた食事を心がけることが重要です。また、治療中は患部を冷やさないように注意し、痛みが強い場合はお風呂でしっかりと温まることで、痛みは緩和されます。