帯状疱疹の症状・原因や予防ワクチンの情報などをお届けします。

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帯状疱疹は、痛みを伴う発疹が
体の左右どちらかに帯状に見られます。
帯状疱疹かもしれないと思ったら、
早めに皮膚科や内科、
ペインクリニックを
受診しましょう。

症状について

  • 多くの場合、最初にかゆみや皮膚の違和感、ピリピリとした軽い痛み、しびれを感じ始めます。
  • その後2~7日にわたって、発疹が出てきます。発疹は、はじめ赤い斑点や小さな盛り上がりで、その後水ぶくれになり、体の片側の神経に沿って広がっていきます。この時期には痛みが徐々に強くなり、「焼けるような」「拍動するような」「刺すような」と表現される痛みに変わる場合があります。ただし、程度や症状の進行には個人差があります。また、頭痛や発熱、倦怠感などの全身症状を生じる場合もあります。
  • 水ぶくれは10~15日ほどでかさぶたになり、約1ヵ月で正常の皮膚に戻ります。皮疹が出ない「無疱疹性帯状疱疹」というタイプも存在し、症状には個人差があります。この場合は神経痛の痛みのみが現れます。
  • 帯状疱疹を疑うような、痛みを伴う発疹や水ぶくれがある場合は、皮膚科を受診しましょう。帯状疱疹の初期症状は原因のはっきりしない痛みや違和感として現れることもあります。皮膚症状がなくても少しでも気になる症状がある場合は、かかりつけ医や近くの内科、ペインクリニックに早めに相談するようにしましょう。
帯状疱疹
赤い斑点 水ぶくれ ただれ かさぶた
帯状疱疹後神経痛に
移行する可能性も
帯状疱疹の経過1)
  • 1)新村眞人. 感染・炎症・免疫.2001.31(4).299-300より改変

発症する体の部位について

症状は、神経の流れに沿って現れることから、主に体の左右のどちらかに帯状にみられます。主に腕や胸、背中など、多くは上半身にみられ、顔や首など外見が気になるところに現れることもあります。
帯状疱疹の発症する体の部位2)
頭部~顔面17.6% 頚部~上肢14.5% 上肢~胸背部31.2% 腹背部19.6% 腰臀部~下肢17.1%
に発症する帯状疱疹:
痛みやかゆみなど顔に違和感を生じた後、目の周りや頬、鼻、口の周りなどに皮膚症状がみられます。まれに目や耳の合併症につながることもあります。
胸や腕に発症する帯状疱疹:
ほかの部位と同じように、痛みや発疹などがみられます。まれに腕が上がらないなどの合併症につながることもあります。
下半身に発症する帯状疱疹:
おしりや足の片側に水疱ができ、痛みやかゆみがあります。歩行時や座るときに痛みを強く感じることがあります。
首や顔に帯状疱疹が発症すると視覚や聴覚に影響を及ぼし、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
  • 2)石川博康 他. 日皮会誌. 2003; 113(8): 1229-1239. より改変

後遺症について

通常、痛みは水ぶくれ(水疱:すいほう)や赤い発疹(ほっしん)が治るとともに軽くなりますが、皮膚の症状が治まった後も長期間にわたって痛みが続くことがあります。これを帯状疱疹後神経痛(PHN)といい、神経がウイルスによって傷つけられてしまうことによって引き起こされる痛みです。ときには、軽く触れただけでも痛みを感じる「アロディニア」と呼ばれる痛みを生じることがあります。

帯状疱疹は人にうつるか

帯状疱疹として他の人に直接うつることはありません。
ただし、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を持たない人が感染した場合、水ぼうそうを発症する可能性があります。水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を持たない人とは、水ぼうそうの予防接種を受けていない赤ちゃんや、過去に水ぼうそうにかかったことがない方のことです。水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスは、感染者の皮膚にできた水疱に直接触れることで広がります。また、水疱から飛び散ったウイルスが空気中に拡散し、それを吸い込むことで感染が起こる場合もあります。

早期受診の重要性・
治療の内容

帯状疱疹はひどくなる前に治療を
始めることが重要です
帯状疱疹の発疹(ほっしん)や水ぶくれ(水疱:すいほう)などは治療を行わなくても治る場合もありますが、治療が遅くなったり治療されないまま放置されると、頭痛や39℃以上の発熱などの全身症状が現れることもあります。 特に首から上の帯状疱疹は、重症の場合、失明や顔面麻痺、難聴を引き起こすことがあります。発疹が消えた後も痛みが残ることがあるため、できる限り早く医療機関を受診し治療を始めることが重要です。
治療の中心は抗ウイルス薬です
帯状疱疹の治療の中心は、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。発疹(ほっしん)が出てから72時間以内に飲みはじめることが望ましいといわれています。しかし、発疹が出てから2日以内に医療機関を受診する患者さんは少ないのが現状です。発疹に気がついたらできる限り早く受診しましょう。抗ウイルス薬を飲むことで体内のウイルスの数が減少すれば、症状は次第に軽減します。効果が得られないからと勝手に服用をやめたりせず、指示されたとおりにお薬を飲むことが重要です。痛みが強い場合は痛みを抑える鎮痛薬や抗うつ薬を同時に使うこともあります。
帯状疱疹に2回なる(再発する)ことはありますか?
帯状疱疹になると、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する強い免疫がつきますが、かかった人のうち数%は再発するといわれています3)
  • 3)国立感染症研究所,帯状疱疹ワクチン ファクトシート第2版,令和6(2024)年6月20日 P9
帯状疱疹と単純ヘルペスの違いは?
帯状疱疹は水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスは単純ヘルペスウイルスの感染によって起こります。この2つのウイルスはとてもよく似ており、両方とも、一度感染すると一生涯、体の中に潜んでいて、免疫力が落ちたときに症状が出てきます。水ぶくれ(水疱:すいほう)や痛みが出る症状も同じですが、帯状疱疹が主に上半身の片側に帯状にできるのに対し、単純ヘルペスは口の周りや性器などにできます。一般的に、帯状疱疹の方が症状の範囲が広く、痛みも強く、後遺症が残ることがあるといわれています。
また、帯状疱疹にはワクチンがあり予防できますが、単純ヘルペスに対するワクチンは現時点ではありません。
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