帯状疱疹の症状には個人差がありますが、多くは、はじめに皮膚に神経痛のような痛みが起こります。痛みは、皮膚の違和感やかゆみ、しびれとして感じる程度から、ピリピリ、ズキズキ、チクチク、針で刺されたような痛みや、焼けるような痛みまで様々です。その後、水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れ、徐々に痛みが強くなり、眠れないほど痛むこともあります。強い痛みや皮膚の症状は、主に体の左右のどちらかにみられ、3~4週間ほど続きます。
写真提供:奈良県立医科大学皮膚科学教室 浅田秀夫先生
症状は、神経の流れに沿って現れることから、主に体の左右のどちらかに帯状にみられます。主に腕や胸、背中など、多くは上半身にみられ、顔や首など外見が気になるところに現れることもあります。
1)石川博康 他. 日皮会誌. 2003; 113(8): 1229-1239. より改変
帯状疱疹の発症に関係しているのは、水ぼうそうと同じウイルスで、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスといいます。このウイルスに初めて感染したときは、水ぼうそうを発症します。水ぼうそうが治っても、このウイルスは神経節に潜伏した状態で体内に残ります(「帯状疱疹になるしくみ」参照)。普段は免疫力によってウイルスの活動が抑えられているため、帯状疱疹を発症することはありませんが、加齢、疲労、ストレス、紫外線、免疫抑制薬などの使用などで起こる免疫力の低下によって発症することがあります2)。
2)山口 重樹ほか:Pharma Medica38(8): 71-76, 2020
帯状疱疹は、周囲の人に帯状疱疹としてうつることはありません。
しかし、周囲に水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を保有していない人がいる場合は、新たに水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに感染する可能性があります。その場合は水ぼうそうを発症します。
帯状疱疹になると、痛みにより、家事ができない、仕事に集中できない、眠れないなど、日常生活に支障をきたすことがあります。また、顔や首に水ぶくれ(水疱:すいほう)ができると、外見が気になって外出しづらくなることもあります。
例えば
痛みがひどくて、
体を動かせない
顔や首の発疹が
気になって、
外出できない
痛くて、家事や
仕事ができない
痛みがひどくて、
眠れない
帯状疱疹の発疹(ほっしん)や水ぶくれ(水疱:すいほう)などは治療を行わなくても治る場合もありますが、治療が遅くなったり治療されないまま放置されると、頭痛や39℃以上の発熱などの全身症状が現れることもあります。 特に首から上の帯状疱疹は、重症の場合、失明や顔面麻痺、難聴を引き起こすことがあります。発疹が消えた後も痛みが残ることがあるため、できる限り早く医療機関を受診し治療を始めることが重要です。
帯状疱疹の治療の中心は、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。発疹(ほっしん)が出てから72時間以内に飲みはじめることが望ましいといわれています。しかし、発疹が出てから2日以内に医療機関を受診する患者さんは少ないのが現状です。発疹に気がついたらできる限り早く受診しましょう。抗ウイルス薬を飲むことで体内のウイルスの数が減少すれば、症状は次第に軽減します。効果が得られないからと勝手に服用をやめたりせず、指示されたとおりにお薬を飲むことが重要です。痛みが強い場合は痛みを抑える鎮痛薬や抗うつ薬を同時に使うこともあります。