帯状疱疹は、体内の水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが活動を再開することで発症します。
主に子どもの頃に、このウイルスにはじめて感染すると、水ぼうそうを発症します。そして、水ぼうそうが治った後も、ウイルスは脊髄から出る神経節という部位に潜んでいます。普段は体の免疫力によってウイルスの活動が抑えられているため発症することはありませんが、免疫力が低下するとウイルスは再び活動、増殖しはじめます。そして、ウイルスは神経の流れに沿って神経節から皮膚へと移動し、帯状に痛みや発疹(ほっしん)が出る帯状疱疹を発症します。
水ぼうそう
(水痘)
潜伏感染
免疫力低下
帯状疱疹
体の免疫力は、加齢、疲労、ストレスなど、誰にでもみられる、ごく日常的なことによって低下します。健康なときは免疫力が強いため、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスの活動は抑えられていますが、免疫力が低下した時に再び活動、増殖し、帯状疱疹になると考えられます。
帯状疱疹の発症には、加齢が関係しており、日本人では、50代から帯状疱疹の発症率が高くなります。50代、60代、70代と発症率は増加し、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になるといわれています1)。
帯状疱疹になった患者さん全体のうち、約7割が50歳以上です2)。しかし、残りの3割には20代~30代も含まれており、若い人でも発症する可能性があります。
なお、帯状疱疹発症率は年々増加しており、例えば60歳以上の年齢層では、1997年から2017年までの21年間で発症率が約1.5倍に増加していることが確認されています(宮崎県での調査より)3)。
対象・方法:2009~2015年に宮崎県の43施設で帯状疱疹と診断された34,877例について、年代別、性別等に層別し、帯状疱疹の患者数、及び宮崎県の人口を母数として発症率を算出した。
1)Shiraki K. et al. Open Forum Infect Dis. 2017; 4(1): ofx007.より作図
2)外山望. 日臨皮会誌. 2019; 73(5): 186-189.
3)Toyama N, et al. J Dermatol Sci. 2018; 92(1): 89-96.
子どもの頃に水ぼうそうにかかったことがある人だけでなく、かかっていても自覚がない人もおり、日本の成人のおよそ9割は体内に水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスを持っていると考えられています4)。そのため、このような方は帯状疱疹になる可能性があります。
4)国立感染症研究所感染症疫学センター, IASR. 2018; 39(8): 129-130.
一度、帯状疱疹になると、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力があがるため、再発することはあまりないといわれています。ただし、高齢者や免疫力が著しく低下した方では再発する場合もあるので、注意が必要です。帯状疱疹にかかった人のうち数%は再発するといわれています5)。
5)国立感染症研究所,帯状疱疹ワクチン ファクトシート,平成29(2017)年2月10日